新宿西口から徒歩10分ほどのところにあるSOMPO美術館。
そちらで、「シダネルとマルタン展 最後の印象派」が開催されていました。
2人の作品を扱うのは、日本では今回が初だったようです。
26日で展示会は終了となってしまいましたが、記録としてご紹介したいと思います。
「シダネルとマルタン展 最後の印象派」の詳細
名称
|
「シダネルとマルタン展 最後の印象派」
|
開催期間
|
2022年3月26日〜6月26日
|
開催場所
|
SOMPO美術館
(東京都新宿区西新宿1-26-1)
|
開館時間
|
10:00〜18:00(入場制限あり)
|
値段
|
1,600円
(事前予約なら1,500円)
|
ホームページ
|
スポンサードリンク
シダネルとマルタンとは
シダネルは、本名アンリ・ル・シダネル、マルタンは、本名アンリ・マルタン。
二人とも1860〜1940年ごろまで活躍されたヨーロッパの油彩画家です。日本の幕末の時代から第二次世界大戦の時代まで生きてらしたんですね。
最後の印象派と言われている通り、二人ともとても美しい風景画を描き出しました。
そんな二人をそれぞれ簡単にご紹介していきたいと思います。
ちなみに、二人は絵画だけでなく、版画にも精通していたそうですよ。展示会の最後には数点版画が展示されていました。
シダネル
シダネルの初期の作品は、淡い霞がかったような作品だったように思います。
1880年代後半から1890年前半はフランソワ・ミレーの影響を受けたそうで、牧歌的な作品もありました。
その後、フランス北部に移り住んだ頃から、食卓や庭のバラを描く作品が多くなりました。
《エタブル、砂地の上》1888年
彼の作品で印象的なのは、1920年以降に見られるような、手前と奥の明暗を見事に描き分けた作品です。
手前には暗さの中にもはっきりとした美しさがあります。奥には夕陽なのか朝日なのか、陽の光でオレンジがかった風景。
調和がとれた描写が際立ち、見惚れてしまいますね。
《ジェルブロワ、テラスの食卓》1930年
《サン=トロペ、税関》1928年
かと思えば、光を抑えた暗闇の作品も実に上手なんです。
こうした光を巧みに利用した作品は、モネに似てますよね。
二人は光の魔術師クロード・モネに会いに行ったこともあるそうなので、彼の影響かもしれません。
《ヴェルサイユ、月夜》1929年
スポンサードリンク
マルタン
マルタンの作品は、最初、展示会の早々からあまり好きにはなれなかったんです。
あまりにもボヤッとした顔の人物画が中心で、後ろの風景は飾り程度といった印象でした。
《腰掛ける少女》1904年以前
風景画も描いているかと思えば、絵の具を過度に塗りたくったような作品が多く、ボテッとしていてあまり印象は良くなかったです。
しかし、1990年代の作品になると、人物画よりも風景画としての彼の持ち味が出てきます。
それまでとは変わり、絵の具の量も落ち着き、一筆一筆が繊細で細かいタッチになっていきました。
こうなってからのマルタンの作品は非常に味が出ていて、わたしとしてはすごく気に入りました。
初期の牧歌的なところもありつつ、風景美と調和されて全体として良い持ち味を出しているのではないかと感じます。
《ガブリエルと無花果の木[エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作]》1911年
《二番草》1910年
《コリウール》1923年
点描画のような細かいタッチで描かれたこちらの噴水の作品は、あまり絵画を見ない友人に大変気に入られていました。
様々な色の花、奥の美しい景色、そして何と言っても中央の存在感のある噴水、中世ヨーロッパの貴族庭園にありそうな美しい風景ですね。
《マルケロルの池》1910-1920年頃
スポンサードリンク
まとめ
こちらの展示会、SOMPO美術館での展示会の前に、実は山梨県立美術館で開催していたんです。
そちらにいく機会を逃してしまい、東京に行く用事があったので余った時間で立ち寄ったのですが、印象派好きなわたしにとっては行って大正解な展示会でした。(ポストカードも6枚購入しました!)
印象派といえばマネやモネ、ルノワールなんかを想像してしまいますが、シダネルやマルタンといった方々も後期印象派の一躍を担っていたことを知れて、大変勉強になった展示会でした。
彼らの他にもきっとわたしのまだ知らないマイナーな印象派画家たちがたくさんいると思うとわくわくします。
まだまだいろんな作品に会いたいですね!
スポンサードリンク