ポイント
■明治初期から戦後を生き抜いた日本人の版画家・吉田博■アメリカやインド、エジプトなど海外を渡り歩き、納得する風景になるまで描くのを待ったといいます■当時の平均以上に摺り重ねて、世界に通じる珍しい木版画を作り続けた日本近代美術の巨匠
吉田 博 という画家をご存知でしょうか。
ぱっと見は印象派のような色彩の絵を描く方だな、って思ってたんです。
しかし、よく見るとちょっと違う。
実は、有名な作品のほとんどが 版画 なんです。
つまり、描いたのではなく、下絵を描いて、木を削って、何度も紙に刷って、ようやく完成するのが版画です。
あの故ダイアナ妃や心理学者フロイトも愛好したそうです。
というわけで、今回は現在河口湖美術館で開催されている『吉田博展』についてご紹介します。
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『没後70年 吉田博展』の詳細
特別展名称
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『没後70年 吉田博展』
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開催期間
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2019年10月26日(土)〜12月22日(日)
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開催場所
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河口湖美術館
(山梨県南都留郡富士河口湖町河口31707)
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開館時間
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09:30~17:00(入館は16:30まで)
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値段
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800円
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ホームページ
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吉田博の魅力
「版画」…と聞いて、よくご存知の方もいらっしゃれば、
水彩や油彩と何が違うの?なんて思われた方もいらっしゃるかもしれません。
なんとなく絵画を見ていると、そういうところに目がいかないことってありますよね。
わたしは今回の展示で、「綺麗な絵を描くな〜」なんて思ってたんです。
しかしですね、展示の大半の作品が版画、それも木版画です。
どういうことかわかるでしょうか。
版画は、下絵を描いて、木を削って、何度も紙に刷ったものなんですよ。
一体どれだけの労力がかかっているんだ!?という話です。
多いものは96回も摺り重ねたそうです。衝撃的ですね。
さて、そんな吉田博の魅力について、今回少しご紹介したいと思います。
印象派に似ている
吉田博さんは、もともと水彩と油彩を描いていましたが、49歳の時に木版を始めたそうです。
西洋の写実的な表現と日本伝統の版画技法を融合させたのが特徴的です。
こちらがその作品なんですが、少し印象派の画家の絵に似ていませんか。
印象派のように淡いタッチで風景を描いているかと思えば、しかしところどころしっかりと描写されていますね。
少し、西洋と日本の融合ってのもわからなくもありません。
なんだか色使いがチェコの画家ミュシャにも似ているような気もします。
写実主義
吉田博は「山岳画家」と呼ばれていました。
山からの描写が多いのですが、想像や写真を見て描いていたわけではありません。
なんと、お手伝いさんたちと一緒に実際に山に登り、気に入る風景になるまで何日もそこにいることもあったとか。
アメリカのグランドキャニオンやナイアガラの滝、
インドのタージ・マハルやバラナシ等海外の作品も多いですが、
実際に足を運んで余裕を持った計画を立てて描写していたそうです。
画材を持ちながらでしょうから、ものすごい行動力ですよね。
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版画へのこだわり
版画って、ベターっと版を塗って、その一色が紙に着いて、それを繰り返すって工程じゃないですか。
吉田博さんの作品て、同じ建物や山、空も太陽の光も若干所々色を薄くしたりしてるんです。
版画だから何回も刷らないとそうはならないでしょうに、すごい作業量だったろうなぁなんて考えてしまいました。
当時の摺り重ねの回数は、平均十数回だったそうですが、
吉田博さんはなんと平均三十数回…驚異的なこだわりですね。
版画って便利だなって思った一面もあるんです。
同じような作品がいくつかあるなと考えていましたら、
版画なので使い回しができるんですよね!
しかし、同じ版画でも色彩の使い方でこれほど違う作品に仕上がるんですよ。
これも版画の面白いところですよね。
※展示内ではここだけ撮影可能でした。
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グッズ販売
美術館入口をぬけてすぐにあるショップでは、Tシャツやマグネット、クリアファイル、ポストカード等のグッズも販売しています。
ポストカードは1枚130円でしたが、正直品揃えはよくありませんでした。
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まとめ
今回はあまり世間に知られていない日本版画家の吉田博さんについてのご紹介でした。
展覧の終了まで残り3週間を切りました。
あまり有名でないせいもあって、休日に行ったのにほぼ人はおらずゆっくり鑑賞できました。
印象派が好きな方はきっと気にいると思いますので、是非行ってみてくださいね!
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