わたしの結婚相手が台湾人ということもあり、台湾はわたしにとって特別な存在です。
その台湾が今、中国の驚異によりさらされています。
2018年11月の統一地方選挙では中国寄りな国民党が圧勝、
現政権の民進党はその基盤である高雄も失いました。
馬英九元総統の時代のように、再び中国への依存が増しています。
そこで少しでも中国と台湾の関係を知るために、
アジア情勢に詳しい石平氏の本『なぜ中国は民主化したくてもできないのか』を読んでみました。
そして、以下の2点について考察しました。
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習近平は今後何をしようとしているのか
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台湾はどうなるのか
石平さんが伝えていること
まず石平が本で語っていることは主に以下のようなことです。
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習近平は任期である「2期10年」を撤廃し、秦〜清王朝まで続いた皇帝政治(独裁)を復活させた。
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習近平はあらゆる組織に「小組」を設置して自分の意向を取り入れている。
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中国人は、一つの王朝が崩壊する度に、大陸全土が長期間焦土と化し多くの人民が財産と命を奪われてたいへんな苦しみを被ることを知っている。そのため、皇帝の存在を待ち望んでいる。
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中国思想として、中国の歴代王朝の皇帝こそ天命を受けた天子であり、彼こそが「天の下」の世界の頂点に立つ唯一の主権者である。
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「中華思想」の世界観とその優越感を維持していくため、属国として支配し、従わない国は征伐する必要がある。
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「皇帝独裁の中央集権制」は必ず悪政をもたらすという歴史がある。
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中華秩序(皇帝の世界支配)の崩壊を食い止めることのできなかった王朝と皇帝は、もはや滅びる以外にない。
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習近平が皇帝として認められるためには、何か大きなことを成し遂げる必要がある(その一つは「民主化」のはずだった)。
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習近平が特に力を入れているのは、「一帯一路構想」によるアメリカの排除と中国の経済的影響力増、そして「南シナ海の軍事拠点化」によるアジア諸国の生命線を押さえること。
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北朝鮮問題は、問題であり続ける限りアメリカの注意を逸らせるので好都合。
本の内容からわたしが考えたこと
1.習近平は今後何をしようとしている?
かつて鄧小平が毛沢東の皇帝政治を反省して指導者の終身制を定めましたが、
それを廃止し実質「皇帝」の座についた習近平。
彼には毛沢東や鄧小平といった人物たちに比べ実績がないため、
今後益々外部への働きがけが活発になっていくと予想されます。
特に一帯一路構想ではアジアやアフリカへの影響力を無理矢理増やしており、
スリランカについては債務を返済できず港を割譲してしまう事態になりました。
ハンバントタ港を軍事拠点として利用するのではないかという疑惑もありますが、
地図で場所を見ると貿易などの重要拠点であることは明らかです。
一帯一路構想は、中国大陸が支配地域を増やすためのものと言っても過言ではない状況です。
今度、南シナ海に続いてアジア諸国の生命線を押さえる行動が活発していくと思われます。
2.台湾はどうなる?
中国の圧力(莫大な資金援助)により、台湾との国交を見直す国が増えてきました。
最近だけでも台湾は中国によって国際大会の開催を中止に追い込まれ、
中国による圧力が次第に重くのしかかっています。
中国は、南シナ海において電波妨害装置や電子戦兵器を配備して米軍の接近妨害しており、
もしこれらの行動でアメリカが締め出されれば、もはや中国大陸の独壇場です。
軍事的支配に加え、一帯一路による経済的支配も合わさると、
もはやアジアで中国に物言いできる相手はいません。
台湾関係法によってアメリカが台湾を守ってくれる可能性はありますが、
アメリカのアジアにおける影響力が減っていけば益々台湾の立場は悪くなるでしょう。
また、上記のような行動で蔡英文が台湾独立運動を繰り広げれば習近平にとっては軍事介入のいい口実になってしまいます。
悔しいですが、今は過激なパフォーマンスは避けなければなりません。
まとめ
以上からわたしが中国に抱く懸念をまとめました。
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習近平はアジアの要所を押さえて影響力を拡大していっている
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中国の工作によりアジアにおけるアメリカの立場は危うくなっている
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このままではいづれ台湾が中国に支配されてしまう
台湾が中国に統合されるなど考えたくないですが、
じわじわと中国の影が忍び寄ってきているように思います。
最近の米中貿易戦争や華為(ファーウェイ)閉め出しによりある程度アメリカが中国を黙らせてくれています。
また、ウイグル族への仕打ちに世界中の人々が憤っており、
昔から指摘されてきた中国の人権侵害が公に認識されてきました。
このような流れが中国を正常化(民主化)させる動きになることと、
台湾の独立が世界で認められ日本とも国交樹立できることを願うばかりです。